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なぜ住宅価格急騰??  ウッドショックについて

 

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こんばんわ。にじいろキャピタルです。
 
今日、巷でささやかれている”ウッドショック”にフォーカスしてみたいと思います。
 
輸入木材高騰が住宅産業を直撃 「ウッドショック」で多方面に影響 - SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト
 

ウッドショックって何ですか?

 

ウッドショックとは木材の供給不足のことで、現在北米や中国の木材需要が活発になっていることで世界中で起こっている状況です。米国では新型コロナウイルス禍を受けた在宅勤務の広がりや低金利などを背景に、住宅建設やリフォーム需要が増大しております。今年の住宅着工件数は約160万戸と、昨年(約138万戸)から大幅に伸びる見通しです。また中国でも住宅需要が伸び、おもに北米産の木材価格を押し上げております。

 

なぜ木材が高騰するの?

 

そもそも日本の木材自給率は4割弱です。約6割強は輸入木材を利用しております。従いまして輸入木材の供給が不足すると、途端に市場価格に影響します。日本の木造建築物の50%以上の材料は輸入木材が使用されており、特に相場を左右する住宅の構造材は北米からの輸入木材がかなりの部分を占めます。上述のように今回は北米材の供給不足が価格高騰の発端となっており、それに加えてここ最近のコンテナ不足による海上運賃の高騰がさらに拍車をかけているため日本国内の木材流通価格が急激に高騰しております。

 

新築住宅価格への影響はどうなる?

前述しました通り、日本の木造建築物の50%以上の製材は輸入木材が使われてます。とりわけ主要部材である構造材は北米からの輸入木材がほとんどです。例えば、在来工法で使用される米松や2X4工法で使用されるSPF材などです。これらの材料が高騰すれば、当然住宅建設コストに直接影響します。記事には60万円の価格上昇とでてましたが、北米からの輸入木材が既に1.5倍くらいの価格で取引されているとの情報もあり、また供給そのものが不足していることから、今後更にコストアップとなることが予想されます。

 


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過去にもウッドショックがあった?

 
実はウッドショックと呼ばれる現象は今回が初めてではありません。過去にも木材の供給不足が発生したことがあります。
最初のウッドショックは1990年代初頭です。1992年に行われた国連環境開発会議で「森林原則声明」が採択され森林保護の国際的なルールが決定されました。それによりアメリカや熱帯雨林保有国が木材の違法伐採を規制したことに始まります。特にインドネシアは自国の加工産業を育成するために原木の輸出を禁止し木製品輸出のみ許可するよう切り替えました。日本は当時インドネシアから原木を合板製造の原材料として大量に輸入していたため、この原木の禁止措置は日本国内の合板産業を縮小させる結果となりました。
それ以降もたびたび原産国の輸出規制の変更や国際的な需給の変動で木材供給が不足することが度々あり、その都度価格の乱高下が発生しています。
木材は自給率が低いため、どうしても原産国の事情が直撃するのが実情です。
 
 

国産材をもっと使えないのか?

 
1955年時点では日本の木材自給率はほぼ100%でした。それが、国産材の衰退により2003年には18.8%にまで減少します。近年、国産材の積極活用を官民一体で進めていったため、2019年には木材自給率37.8%まで改善しました。日本国内でとれる原木の中で木材として利用できる樹種は針葉樹がほとんどです。針葉樹は住宅向けの構造材などの製材には向いてますが、寸法の安定性などでは南洋材などに劣り、また節などが入り混じるため用途が限定されてしまいます。
また、日本の林業は長らく衰退の一途をたどってきたため、林業に携わる労働者の高齢化が進み、生産性向上がなかなか進んできませんでした。従いまして、原材料を増産しようとしても限界があるのが実情です。
 
 

今後の見通しについて?

 
上述しました通り、供給不足の原因は北米と中国の需要増とコンテナの不足によるものです。需要が落ち着けば価格も適正価格になることが予想されます。しかしながら、現在の北米の好景気と中国の経済成長を考慮するとしばらくはこの状態が続くのではないかと予測する専門家は多いです。
木材は限りある資源ですし、温暖化問題を解決する重要なアイテムです。適量以上の伐採は絶対にできません。従って輸入木材は当分高水準で推移することが予測されます。一方国産材は生産性向上がカギとなるでしょうが、日本は少子高齢化で、残念ながら林業に就業する若い人材が増えることはあまり期待できません。生産性向上する技術革新があれば明るい未来があると思いますが、そういった情報は今のところ私は存じません。
 
この問題の解決は日本の自助努力では今のところどうにもならなさそうですね。他力本願的になってしまいますが、残念ながらしばらくは住宅価格は高止まりするのではないでしょうか。
 
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